「あえて選んだ狭い家」という本が話題になった。家は広くあってこそ幸せになれるという一般的な考えに反するタイトルだ。
私自身も狭い家に住んでいる。家族3人で57平米。2LDKなので、リビングと夫婦の寝室と子供部屋という構成だ。実に狭い。
もちろん狭いことはわかっていてそのマンションを購入した。広い家の方が快適に暮らせる面があることもわかっている。それでも狭いことによるメリット(ほぼ全てコスト面のメリット)から、私も“あえて選んだ“一人に入るのかもしれない。
ただ、やはり、である。狭いもんは狭い。
住んでみると狭い家のデメリットはたくさんある。事前に頭の中ではしっかりと「狭い家で暮らすとこんなことが起こるんだろうな」とシミュレーションできていても、予想に反することは起こるし、仮にそれがシミュレーションどおりだったとしても困ることには違いない。
狭いマンションや一軒家を購入したり借りたりしようとしている人に、私が実際に感じたいくつかのことをお伝えしたい。
引っ越し後になかなか片付かない
引っ越し直後に発生するのがこの問題だ。狭い家ではなかなか引っ越し後の片付けが進まず、日常を取り戻すまでに時間がかかってしまうのだ。
なぜかというと、とりあえずダンボールをまとめておいておくような逃げスペースが存在しないから。
たとえば、私は2LDKに住んでいるが、それがたとえば4LDKで100平米くらいあれば、引っ越しはもっと簡単だったかもしれないと思う。
部屋の1つを、ダンボールを一時的においておく部屋にしておいて、リビングや寝室は生かして置き、そこで徐々に日常生活を立て直していけば良い。
しかし狭いとそうはいかない。各部屋におく予定のダンボールは、各部屋におかれることになる。逃げ場所に使うような部屋は何しろ存在しない。全部の部屋に頑張ってもらわなくては困る。
で、どうなるかというとどの部屋もダンボールが主役みたいな様子が出来上がる。人間が暮らすような隙間なんてない。
この時期が、私の家の場合は1ヶ月以上も続いた。かなりつらかった。
一時的なものであったとしても、こういう辛い時期があることが、狭い家のとても大きなデメリットだと思う。
選べる家具の制限が思った以上に厳しい
新居に移れば、新しい家具だとかいろいろなものを置きたいものだ。だが、狭い家だと結構難しい。選べる家具は、大きさの面でとてつもなく限られてくるからだ。
こんなことは狭い家を選ぶと決めた時点でわかっていることなのだけれども、これがいざ目の前にすると案外辛いものだ。
たとえば食卓。「こんないい感じのダイニングテーブルが欲しいなー」と選んでいて、なかなかいいのが見つかったと思っても、大抵の場合それはでかい。置けない。入らない。
照明にしても同じだ。こんな感じのおしゃれな照明にしたいなーと思っても、それは部屋が狭いとつけてしまうと圧迫感が出るようなものだったりする。
何を導入しようにも、ほとんど常に大きさの問題が発生してしまう。狭い家だから当たり前だろと思うだろうが、わかっていてもいざ目の前にリアルな問題として見えてくると、思ってたより辛いなーと感じてしまうものなのだ。
他の人に言うとき、ちょっと恥ずかしい
「あえて選んだ狭い家」であったとしても、それはやはり「あえて」。あえて、と付け加えなければならないほどに、家は大きければ大きいほど良いという先入観や思い込みは強い。
私もマンション購入時にはずいぶん考えた。自分なりの理由があって、それは結構論理的で、納得して購入した。
それでも誰かに話す時に「でもまあ、狭いんだよねー」と口をついて出てしまうのだ。
経済的な面から考えると、絶対狭くても街中に近いとか何かしら別のメリットがある家を買った方が少なくとも私にとってはリーズナブルなんだけど、どっかで「負けてる感」が残っている。
人によっては、こんなことは感じないのかもしれない。というか、私自身も常日頃こんな風に思っているわけではない。
それでも時折、なんか言い訳しておきたいような気持ちになることがあるのだ。
だいたいこんなところだろうか。ぶっちゃけ、どれもそれほど大した問題ではない。引っ越し後の大変さなんて最初のうちだけだし、家具の大きさの問題も慣れてくればその条件に合わせたものが探せるようになる。「負けてる感」も、実際日常的に味わっているわけではないし、私自身納得して買った家だから実はそんなに強く負けてる感を持っているわけでもない。
なので、狭い家だけど買ってもいいのかなあとか、そんな風に悩んでいる人は、分析して見て自分には狭い家でOKっぽい、と思ったら自信を持ってえらんでみればいいとおもいます。