フランスのSF作家、ジュール・ヴェルヌ。和訳されていないものを含めると、80作品くらいは残している多作の作家だ。ちなみに80作品というのはうろ覚えなので違ってたら後で訂正する。でも確かそんなもん。
名作も多いが、読んでてダレる微妙な作品がちょこちょこあるので、とりあえずヴェルヌ読んでみるならこれを是非、というのを3作品集めてみた。
長ったらしい博物情報みたいなのがちょくちょく挟み込まれるのがときに鬱陶しいが、教育小説としての歴史もあるので大目に見てやってほしい。
1. 80日間世界一周
初めてヴェルヌを読むなら、私的おすすめ第一位は圧倒的に80日間世界一周だ。
なにしろ、ストーリーがちゃんと面白くて、キャラクターも立っているので読み進めやすい。
とはいえもう100年以上も前に書かれた作品だから、様々な国の描写はかなり怪しいというか、嘘や誤りが多い。
多分ヨーロッパの記述以外はほとんど正しいところはないと言っても間違いではないと思う。たぶん。
それでも、当時はこのように言われていた、という情報として読むと、これもまた面白いはず。
何よりこの作品の魅力は、繰り返すけどストーリーとキャラクターだ。主人公であるフィリアス・フォッグがとにかく私は好きで、この人の描写を読んでいると思わず笑ってしまう。
晩年のヴェルヌ作品はどうもだんだんと暗いテーマになりがちだったが、まだこのころの作品は明るくて生き生きしていて読んでいて楽しい。
まずは、とりあえず楽しいこの「80日間」を読んでから、ヴェルヌの世界に入り込んで行ってもらいたい。
2. 海底二万マイル
次にオススメしたいのは、海底二万マイルだ。日本語タイトルはいろんなバージョンがあって、海底二万里とか言われたりもするが、まあどれでもいい。
2番目にオススメしておきながら言うのもなんだが、そんなに好きな作品というわけでもない。ちょっと思い入れがあるのと、とりあえず読んでおいていただかないとならないと思うので、これを2番目にせざるを得なかった。
ただ、ちゃんと面白いから安心してほしい。
有名なノーチラス号が出てくるこの作品。独特の雰囲気があって、やはりよい。パイレーツオブカリビアンの二作目のイカタコ船長は、きっとこの作品にインスパイアされたんだろうなと明らかにわかるくらい、あんな感じの話だ。
個人的に好きなのは、何ページにも渡って描かれるお魚情報だ。
小説を読んでいたつもりが、いつの間にか図鑑を読まされているというマジック。意味がわからないと思うが、ほんとにそんな感じだから仕方ない。
ここがまさに教育小説として書かれたことの一つの側面なんだけれども、とはいえヴェルヌは情報の収集家なので、確実に楽しみながらお魚インフォメーションの列挙をやっている。
その熱が伝わってくるから、興味なくても魚の紹介を読んでしまう。
この不思議な感覚を楽しめると、ますますこの作品を楽しんでもらえると思う。
ちなみに1番目を80日間世界一周にして、2番目を海底二万マイルにしたのは、こっちはちょっとだけ内容がくらいから。
まずは楽しい気持ちになる作品を読み、そのあとで少しだけくらいテイストの海底二万マイルを読んでいただくのが良いおもう。
3. 神秘の島
さて、最後はこれ。神秘の島だ。
80日間世界一周や海底二万マイルと比べると、かなり知名度が落ちる作品だが、私的にはヴェルヌの最高傑作だと思っている。
いわゆるロビンソンクルーソーもので、島に漂流する人たちの話だが、相当楽しい物語だ。
クルーソーものは、そもそもその設定が楽しいから、どうあっても読んでて楽しいのだが、こちらはちょっと他の趣向も凝らしてあるので!ヴェルヌ好きはかなり興奮する。
これもまた登場キャラクターが素晴らしい作品で、このメンバーなら一緒に島に漂流してみたいなあと思わせる。
また、舞台となる島そのものも魅力的だ。
岩波書店の大型版だと、表紙裏に大きな地図が付いてくる。これをみながら読むとなお楽しいのでオススメだ。
以上、ヴェルヌを読むならとりあえずこの3冊として紹介した。
他にも楽しい作品はあるが、でもこの3冊を繰り返し読むだけでも満足感はあるはず。是非試しに読んでみてほしい。