マーケティングという言葉の定義は、人によって違います。
本当は一つでなければならないのですが、残念ながらいろいろな意味で使われてしまっているのが実情です。
定義が定まらないならマーケティングという言葉を使わなければよいのですが、そうもいきません。ですので、みなさんがどういう意味で定義しているかを簡単にまとめてみました。
目次
お客様に価値を提供して利益を得ることと定義しているケース
グーグルで「マーケティングとは」で検索すると上位に出てくるのがこのページです。
ここでの定義は相当わかりやすいので、とりあえず日本人でマーケティングに携わる仕事をするなら、この意味で捉えておくと間違い無いと思います。(とはいえ、この定義に従えば、マーケティングに携わらない仕事、というのは実際には存在しないわけですが・・・。)
このサイトでは、
マーケティングとは、「お客様に価値を提供してお金をいただくこと」
・・・と定義しつつも、マーケティングの基本用語として以下の4つをあげながらわかりやすく説明してくれています。
1) ベネフィット
2) 差別化と強み
3) セグメンテーションとターゲティング
4) 4Pもう少し詳しく説明してくれています。
世の中の人がこれと同じ意味合いでマーケティングという単語を使えるようになるとどれだけ良いだろうと頃の底から思います。色々読んで勉強してもよくわからないという人は、ぜひ上のページをご覧ください。かなりすっきり整理されると思います。
Wikipediaを見てみますと、やはりこちらも上記と同様の定義になっています。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。
あ、でも顧客ニーズに応えることは書いてありますが、それによって利益を得ること、という定義は含まれていないのですね。
私自身は、顧客ニーズに答えてそれを利益につなげること、という後半までが入っていることが重要だと思っているのですが、「顧客に対して・・・」という考え方が加わっているという点で共通しています。
顧客がすっぽり抜け落ちている定義になっているケース
続いてはこちらです。
「ビジネスにおいてマーケティングは重要」という、若干首をかしげてしまうような一文で始まるこちらのサイト。読み進めてみても、やっぱり傾げた首が戻せません。
冒頭では、次のようにマーケティングについて語ってくれます。
マーケティングの定義を、市場調査や商品、サービスのプロモーションのことだとイメージされる人がいますが、それらはマーケティングの機能の一部を指すものに過ぎません。
ここまでは「そうだ!そうだ!いいぞ!」という感じです。そうなのです。すぐにプロモーションと勘違いしている人が山ほどいるのがマーケティングなのです。この誤解を解かなければ話にならないので、とてもいい導入です。
つづけて日本マーケティング協会による次の定義を引用しています。
企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である
これを「難しくて理解しにくいかもしれない」と心配してくれる上記サイト。たしかにわかりやすい定義では無いので、噛み砕いてくれると嬉しいかもしれない。そう期待していると、出てくるのが以下の言葉です。
もっとシンプルでわかりやすく表現すると、「売れる仕組み」「儲かり続ける仕組み」と言えます。
・・・いや、そう説明するから「プロモーション」と勘違いされるのでしょうが!
マーケティングを説明するときに「顧客」とか「お客様」といった言葉を省いてしまうと、「売る」が目立ちすぎてしまって、それが勘違いを生むのです。
「売れる仕組み」がマーケティングなのか?違います。上の例で言えば、「お客様に価値を提供して利益を得ること」です。あるいは、「お客様のニーズに応えることによって、利益を得ること」とも言えるかもしれません。
簡単に説明しようとするのはいいのですが、「顧客」とか「お客様」を省いてマーケティングを説明しようとするのは相当危険です。
ですので、こちらのサイトの「マーケティングとは売れる仕組みである」という考え方は、個人的には全く賛同できません。
ちなみに以下のページでも同様です。
なんだかんだと色々語った上で、
マーケティングとは、「儲け続ける仕組みを作ること」。
としています。いやー、それでいいのかなーと思ってしまいますね。おそらく、儲け続ける、の「続ける」の部分があることで、顧客に価値提供できていないと儲け続けられないので顧客のことに敢えて触れていない、みたいなことを言われそうですが、それは違うのでは?と感じます・・・。
一部の活動に狭めた定義のケース
続いての例を見てみます。
途中までは、日本マーケティング協会の定義を掲載したりして、いい感じに来ているのですが、途中でおかしな方向になってしまいます。
ただ、そういわれてもピンとこない方もおられるはずなので、当塾ではマーケティングとはどういうもので、どう進めていくものなのかについて、
- 市場調査
- データの精査
- 商品企画・販売方法の決定
- 来店客の反応・満足度調査
という4段階に分け、以下でそれぞれの概要と進め方について解説をいたします。
これは一見すると企業でいうところの「マーケティング業務」に近づいてきているため、それっぽい感じがします。
ですが、実際にはそうではありません。例えば「セールス」。セールスは、こちらの定義では漏れてしまっています。ですがセールスも、れっきとしたマーケティングの一部であるはずです。
が、こちらではそれを省いた形でマーケティングを定義しています。
個人的には1番目のを推します