売れないリノベマンションは、何かをやりすぎている
中古マンションには、売り出されるとすぐに売れてしまう瞬殺物件と、ずーっと売れずにいる物件とに分かれます。
売れない物件の中には、古くてボロくて手を加えるのが大変そうな物件もあれば、反対に綺麗にリフォームされていい感じにお化粧してもらっている物件もなかにはあります。
いい感じに綺麗にしてもらえれば、売れそうなものですが、実際はそれでも売れない中古マンションというのが残念ながら存在します。
そのようななかなか売れないリノベ物件は、どうやら大抵の場合どこかで「やりすぎ」ていることに気づきました。
何をやりすぎてしまうと、リフォーム物件が売れなくなってしまうのか。探ってみます。
目次
前の家主の個性を光らせすぎ
最初のやりすぎは「前の家主の個性を光らせすぎ」です。
駅からも近い、築年数も古くない、価格もまあ納得感がある、それなのになぜか売れてない、という物件に多いのがこれです。
なぜもっと普通の状態にしておいてくれなかったんだ・・・と頭を抱えてしまう物件も多数あります。
たとえば私が内覧した物件の例です。
とてもおしゃれな感じの人がリフォームした中古マンションでした。駅からは徒歩2分。すぐそばにスーパーがあり、便利でありながら、騒音はない。築年数もそれほどでもなく、価格もまあ悪くない。それなのに売れていないのです。
なぜこの条件でなかなか売れていないのか気になり、私は内覧することにしましたが、入ってみて気づきました。
家主のオシャレな趣味が反映されすぎているのです。
壁紙は部屋ごとにすべて違っていて、しかも青や黄色という強い色ばかり。キッチンも青い花柄のタイルが敷き詰められた、かなりオシャレなもの。しかも高さは90センチの高さにしてあります。
ただ、この辺はまだ後から好みで手を加えられる部分なので良いのです。
問題は間取りを変えてしまっていることでした。
特に問題なのが靴箱です。
その方はとにかく靴が好き。大量に靴を持っていて、何しろ数が多いらしいのです。そのため、普通の靴箱のサイズでは到底収まらない。
そこで、まず靴箱の横幅を大きく拡大していました。もとは1メートルくらいの幅だった靴箱が、幅2メートル以上のものになっているのです。それだけならまだしも、その拡大した靴箱の裏側に位置する部屋の壁を内側にずらして、靴箱の奥行きを2倍に増やしていたのです!
その結果、たしかに靴箱の容量は膨大になっています。その反面廊下は圧迫感が出て、さらには靴箱に押されて裏の部屋が1つ狭くなってしまっていました。
これでは売れないのではないかなあ・・・と感じました。
そしてしばらく経ってのちもやはり売れ残っていました。売れるまでには何ヶ月もかかったようでした。
教訓:売るつもりが少しでもあるなら、リフォームする際には個性の光らせすぎに注意!
付加価値を出そうとしすぎ
続いては、特に不動産屋がリフォームするときに起こりがちらしいケースで、「付加価値を出そうとしすぎ」な例です。
中古マンションが敬遠されがちなのは、やはりその古さだったり、設備の不便さなどによります。新築のことが大好きな日本人ですから、中古マンションであっても少しでも綺麗で新しいものが欲しい!と願うのは自然な話です。
そこで不動産屋も、特に古くてテコ入れが必要と思われる物件には、かなり力を入れてリフォームしようとするようです。
スケルトンにした上で、壁紙も建具もすべて新品にし、しかもフローリングも無具材を使ってみたり、ヘリンボーンにしてみたりと、いろいろやるのです。
さらに壁はエコカラット、トイレも風呂も最新型のいいやつ、建具もどこかのかっこいいものです。
その結果、この築年数の物件でこの価格になるの?と素人的には頭を抱えてしまうようなリフォームマンションができあがるのです。
いや待てよ、これはこっちが素人だからわからないだけで、きっとこれでも売れるに違いない。自信があるからこんなリフォームやってるはず!とか思ってると、案の定売れません。
中古マンションは中古マンションなので、新しさはとりあえず二の次というお客さんも最近では増えてきているように想像します。ですから、過剰な新しさや新機能をつけることで付加価値を無理に持たせようとしないほうがいい場合も結構あるんじゃないですか?と思うのです。
教訓:付加価値のつけすぎには注意!
コストを抑えようとしすぎ
最後は反対に「コストを抑えようとしすぎ」な物件です。
「安けりゃいいんだろ安けりゃあ!」と言わんばかりに安物の建具やフローリング、壁紙を導入して売ろうとしている物件にもお目にかかりました。
たしかにコスト第一に考えるのが中古マンションを探す人たちではありましょう。それは否定しませんが、でも幾ら何でもこれは夢なさすぎるんじゃない?という物件に仕上がる場合があるようなのです。
中古マンションでも大きな買い物ですし、多少は夢を見たいのが購入者の本音です。
安けりゃいいだけでリフォームせずに、要所要所は素敵な感じに仕上げてもらえると、物件もびたっと張り付きて身動き1つしないような状況から逃げられるのではないか、と思うのです。
教訓:中古マンションだからって、多少は気を使ってリフォームしてあげよう
リフォームには注意しつつ、価値をあげましょう
リフォームは上手くやれば当然ながら中古マンションの魅力をアップさせるものです。
これからは新築だけでなく中古マンションも見直されるべき時代です。どんどん魅力的なリフォームによって中古マンションを楽しめる人が増えればいいなと思います。