エスカ隊長のポストには、今日もたくさんの依頼が届いていた。山のようにある封筒の中に、やけに細長い手紙があるのにエスカ隊長は気がついた。封筒の幅は大人の親指くらい、長さは大人の背丈ほどもある。気になってエスカ隊長は封筒を開いてみた。中から、ニョロニョロと細長い一枚の手紙が出てきた。

依頼の内容はこうだった。

エスカ隊長へ

助けてください。家から出られなくなってしまったのです。私の住所は南の南のもっと南1丁目です。お願いします。助けてください。町の一番高い建物が私の家です。

「家から出られなくなってしまったとは、きっと困っているだろう。よし、いますぐ助けに行こう。」エスカ隊長は、地下で休んでいるふたごロボットに、急いで探検隊の隊員たちを呼びよせるように言った。

しばらくすると声の高い隊員がやってきた。少し遅れて声の低い隊員もやってきた。みんなで車に乗り込むと、ポケも小窓から走り出してきてエスカ隊長の胸ポケットに飛び込んだ。

「みなさん、おそろいですね。では出発しますよ」と車は丁寧な口調で言うと、ビュンと勢いよくエスカ探検隊を乗せて走り出した。

依頼人が住んでいる南の南のもっと南1丁目は、エスカ隊長の事務所からはかなり遠い。それでも自動運転でハイウェイを走れば今日の昼過ぎには着くだろう。

途中、サービスエリアに寄ると声の低い隊員は、いつものようにたくさん買って食べ始めた。おにぎり10個、クリームパン15個、コーヒー5本にバナナ10本。声の高い隊員は「あなた、そんなに食べて本当にお腹は大丈夫なの?」と聞くけれども、声の低い隊員はへっちゃらでオニギリをモグモグほおばりながら「だいじょうぶ。おいしいなあ、もぐもぐ。たくさん食べなきゃ仕事にならないから。おいしいなあ」

南の南のもっと南1丁目には、予定通り昼過ぎには到着した。そこは小さな町で、家がまばらにあるだけだった。

「依頼人の家は一番高い建物だと書いてあったな。ああ、あそこだ。」

それは他の家に比べると5倍も高い建物だったが、反対に横幅も奥行きは他の家よりもずっとずっと狭かった。牛乳パックを5つ縦に重ねて大きくしたような形をしていた。

声の高い隊員は「こんなに細長い建物は見たことがない」と驚いた。ポケも初めて見る変な家を怖がって、エスカ隊長の胸ポケットから目だけを出してブルブル震えている。

その時だった。家の上の方から、間延びした声でエスカ隊長を呼ぶ声がした。

「エスカ隊長ーお、来てくれたんですねーえ」

声のする方を見ると、その細長い家の一番上に窓があってそこから何かがエスカ隊長たちを見下ろしている。

「ありがとうーございますーう。助けてーえ、くださーい」

その声の主は、なんと一匹の大きなヘビだった。ヘビが細長い家の一番上の窓から頭だけを出して、こちらに話しかけていたのだ。

「あなたですか、私に依頼の手紙をくれたのは」

「はいー、そうですーう。頑張ってーえ、体に合う家をー作ったのはいいのですがーあ、出られなくなってーえ、しまったのですーう」

ヘビによると、玄関から家に入ったところ、後ろに進めなくなってしまったのだという。上から出ようと試してみたが、あまりに高いので怖くて上からは出られなかったらしい。それでなんとか舌で手紙を書いて、エスカ隊長に助けを求めたのだった。

エスカ隊長はどうやって助け出すか考えた。ハシゴで上にのぼろうにも、あまりに高くて普通のハシゴでは一番上には届かない。玄関から引っ張り出すしかなさそうだ。

「よし、声の低い隊員。しっぽをつかんで引っ張り出せるか試してみてくれ」

「わかりました」

声の低い隊員は腕まくりをし、玄関に向かった。ヘビのしっぽをつかもうとドアに体を突っ込むと、「あれ」と言った。

「どうした、声の低い隊員。なにかあったか」

「エスカ隊長、困ったことになりました。体がドアに挟まって、動けなくなりました」

力持ちだが体が大きい声の低い隊員は、細長いドアにぴたっとはまってしまったのだ。エスカ隊長や声の高い隊員が引っ張り出そうとしてみても、ビクともしない。

「困ったことになった」

エスカ隊長ら頭を抱えた。下からは助けられない。かといって上からも助けられない。一体どうしたものか。

ふとエスカ隊長はひらめいた。ふたごロボットに丈夫なロープを持ってくるように頼んだ。そして車を家の近くに呼び寄せて、ふたごロボットが持ってきたロープの端を車に結びつけてから、反対側を丸く結んで家のてっぺんに投げて引っ掛けた。

エスカ隊長は車に「まっすぐ走れ」と伝えた。わかりましたと車はエンジン音を響かせて、思い切り走り出した。

ロープに引っ張られてミシミシと家は音を立て、やがて根元からポッキリ折れてゆっくり傾き、地面にズシーンと倒れた。

なんと、縦に細長かった家が、地面に倒れて横に細長い家になったのだ!

地面がちかづいたので、ヘビは窓から抜け出すことができた。また声の低い隊員も玄関のドアが壊れたのでなんとか抜け出すことに成功した。

「エスカ隊長ーお、ありがとうございましたーあ」

ヘビはそう言って、横に細長い家に入ったり出たりして喜んだ。

こうして今日もまたエスカ隊長の活躍によって問題は解決したのだった。

隊長の事務所への帰り道、疲れたと言って声の低い隊員はコンビニでパンを10個、牛乳を10本、りんごを15個、そしてアイスクリームを5個食べたのは言うまでもないだろう。

今後もまた、エスカ隊長たちの活躍に、期待しよう。