夫婦と息子の3人で、57平米の2LDKに暮らしてます。はっきり言って狭いです。子供部屋と夫婦の寝室とLDKだけ。
「あえて狭い家に住む」というような本もありますね。潔い感じで、なんかかっこいい!
しかし実際のところどうなのかというと、いいところと悪いところがはっきり分かれます。いや、はっきり分かれるというのは語弊があるな。明確なメリットがあるけれど、その一個しかメリットはない、というほうが正確かもしれません。
狭い家が持つ唯一かつ超大きいメリット。それは、価格が安いこと。これにつきます。
広い家より狭い家の方が、入手コストも維持コストも安くすみます。土地が狭くて良いですし、建築材料も少なくて済みます。作るのに必要な作業も、小さいのですから大きな家より少なくて済みます。
これはとても大きなメリットです。
ではこれ以外に、狭い家に住むことがもたらす直接的なメリットがあるかといえば、私は見つけられません・・・。他にはには思い当たらないのです。
コスト以外の「狭い家ならではのメリット」も時々語られますが、本当にそう感じてるのかなあと思ってしまいます。
たとえば次のようなメリットがあるという人がいます。
「家族と身近な距離でいられること」
逆に言えば、狭い家でなければ家族と身近な距離でいられない、という意見ですね。このような意見が出てくるのは、「比較している広い家の設定」がおかしいからではないかと思います。
たとえば、250平米の9DKの家と、55平米の2LDKを比較したとします。確かにこんな広い家であれば、どこに家族がいるか分からないし、近くにいる感じがしないということもあるでしょう。
ちなみに「250平米の9DK」というのは、私の義理の両親の家のスペックです。田舎の広い家で、キッチンが私の自宅のリビングより広いです。庭も広いですし、蔵もあり、テニスコートの反面くらいの広さの倉庫もありますし、トイレやキッチンがついた”離れ”まであります。
これぐらい広い家になると、実際誰がどこにいるか分かりません。里帰りしたときに、気をぬくと1人で居間にぽつんとなって、他の人がどこにいるか全く分からないということは毎年恒例のことです。

確かに広すぎる家は考えものではある
しかしたとえば「3LDK80平米」の、少し広めのマンションではどうでしょうか?
誰がどこにいるかわからないなんてことがあるでしょうか?普通に考えればありません。あったとすればそれは家族の関係性の問題です。
リビングにいなければ、残りの3部屋にいるに決まっているわけですから、この程度の広さで子供がどこにいるか分からなかったり、閉じこもったりすることがあるならば、それは家の問題ではなくその家族の暮らし方や関係性に問題があるはずです。
加えて「家族の存在をとても近くに感じられる」ということも、そもそもそれはメリットなのか?とも思います。
たとえばリビングで夫婦がゆっくりしていたとして、隣の部屋で子供がなんかしてるな、と感じられるのはメリットか。逆もそうです。近すぎる場所に親がいることが、子どもにとって嬉しいことか?毎日のことですから、実際にはお互いにとって不便なだけです。
だから「家族のことを身近に感じられる」ことがメリットになるのは、あまりにも広すぎる家と比較した場合のみの話で、普通の広さの住宅であればその程度のメリットは十分に享受できるのです。
またはこんなのも見かけます。
「狭い方が、持ち物が増えすぎない」
物は言いようだなあと感心しますが、これも違うかなあと。単純に家が狭いからものをたくさん持てないだけの話です。ある程度の広さがあったってものは減らせます。
というか日本の一般的な住宅に暮らしている限り、ものを持ちすぎないようにある程度は注意していないと、家の中はすぐにもので溢れてしまいます。
狭い家より適度な広さの家であれば、ものをちょっと多めに持てるけれど、ものを減らしてスッキリ暮らすこともできるので、狭い家に暮らすよりちょっとでも広い家に住んだ方が選択できていいです。
だから、「狭い家はものを持たずにいられる」のではなくて、「狭い家はものを持たずにいないと、とても快適には暮らせない」が正しいです。
あとは、「掃除が楽」というのも聞きますね。でも80平米3LDKってそんなに掃除が大変でしょうか。将来夫婦だけとか1人になったときに広い家は掃除が大変と言いますが、たしかに私の田舎の家のような広さなら大変ですが、それでも空き部屋にしておいて時々風を入れ替えたり掃除機かけたりするのは、そこまで難しいことではありません。だから掃除が楽なのを狭い家ならではのメリットというには、苦しいと思います。
唯一の強み「価格が安い」だけで、狭い家は選ぶに十分に値する
さて、狭い家の文句ばかりを言うようですが、私自身が狭い家に住んでいます。
狭い家そのものが便利かというと、慣れもあるのでなんとかやれていますが、やっぱり決して便利とはいえません。
広々としたリビングや、自分の部屋で過ごす時間とか、庭で子供と遊んだり、何もない畳の部屋でゴロンとしてみたり、広い家ならできる羨ましいところはたくさんあります。
ですが、それでもそれなりに狭い家に満足しています。
それは、価格が安いことから生じるメリットがあるからです。
価格が安いからこそ、都心の便利なエリアに近いところで暮らせます。通勤時間が短く、日々の疲労は軽いです。近くに公園のある、気持ちの良い場所で暮らせます。納得できる教育環境で子供を学校に通わせられます。そこまでの収入がなくても、必要であれば私立の学校にも通わせられます。
これらは狭い家そのもののメリットではありません。家が安くて価格が安いことが生み出したメリットです。
限られた資金のなかで、自分が最大限気持ちよく暮らすために、狭い家けれども価格が安い家選ぶことによって、自分が満足できる「住宅環境」を選ぶという選択肢です。
広くてなおかつ住宅環境も納得できる家を得られるなら、それに越したことはありません。狭い家か、適度に広い家かであれば、適度に広い家のほうが絶対いいです。(広すぎる家は、人によっては手に余る可能性があります。が、都市部ではそんな物件はめったにありませんね。)
でも、狭い家を選ぶという選択肢を、ありもしないたくさんのメリットで飾る必要はないと思うのです。単純に「価格が安くて入手しやすい」でいいのです。その先に、たくさんのメリットがあるわけですから。
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